2016-01-01から1年間の記事一覧

祝日ラプソディ1

「七月の第三月曜日」 日も傾きだしたので、夕食を作るために台所に立つ。それでも食欲がわいているわけではなかった。ビールを飲みながら簡単に鶏肉と野菜を炒め、スープを温める。今日は暑い一日で、すぐに背中から汗が滲みだしてきた。出来あがった皿をテ…

読書感想3

ゆく年があり、来る年がある。 除夜の鐘は大晦日の夜に響きわたり、時計の針は0時に向けて回り続ける。街に漂う人々は通り過ぎてゆく時間を静かに見守る。 一年、また一年と時は過ぎていく。我々が意識しなくとも、それは絶え間無く流れ続ける。 連続的な時…

読書感想2

「ねぇ、163cmなんだって」 「え、なに?」 「桜の花の落ちるスピード。163cm」 そんな訳はない。それはぼくの身長だ。 子どものころ、自分の住んでいる環境がどうしても嫌で、大人になったら好きなところに行って、好きなことができると思い込んでいた。 た…

読書感想1

「西瓜糖の日々」リチャード・ブローティガン 年をとると考え方が凝り固まってきてしまうもので、20代後半を迎えたぼくも例外なくそれがやってくるのを事あるごとに感じさせられる。日々の退屈な生活の中で探求心は失われ、精神をすり減らしながら惰性で過ご…